虚言ネットワーク

※このブログはフィクションです

駆け抜けて日常 #1

日常に転がる些細なことに目を向けることを疎かにしがちであることをどうにかしたい。基本的に自分の感性というモノをそこまで信用していないので、多分もっと素敵なストーリーテラーがいるのであろうが、私しか目撃者が居ないのだから仕方ない。立ち上がれ…!しかし、今日明日で何かが変わるとは思えないので、ちょとずつ積み重ねていくことにする。何が言いたいかというと、ほぼ毎日何かしらを書きたい。この試みは完全に友人の影響であるのだが、こっちとあっちは少し分断された世界。日本から泳いでアフリカに辿り着く程ではないけれども、本来あっちとこっちは地続きであることが希薄に感じることがあるので、あっちでの影響をこっちに波及させてみようってワケ。

 

久々に幼馴染と連絡を取った。生年月日が一致した人物がひと学年三十人弱のど田舎学級に三人(幼馴染の彼は双子で、姉がいる)も。コレは奇跡である。私はよく分からない結びつきに運命を感じる節がある。コレは今も変わらない。彼の影響で部活動を始め、なんだかんだで高校までやった。彼の影響でスパイダーマンにどハマりした。一緒に夜の小学校にも侵入したっけか。今思うと金魚のフン状態ではあるのだが、彼もそこまで嫌そうではなかった気がする。

そんな彼は、私が上京して間もなく東京に通いつめることになる。結論から先に言うとタトゥーを入れたかったらしい。私が東京初心者ながら様々なところを案内するのを意にも介さずに、

「17時にまたここら辺で。」

と言って消えていく。東京でここらへん、という待ち合わせを提案してくる人はまあいないので、その無骨さに一人でときめいたりもしていたのだが、17時になるとその無骨さを体現したさの有り余り、ザ・無骨を右腕に。たしか、ピストルとダイスのタトゥーだった気がする。

「何でそれにしたの?」

と問いかけると、

「なんとなく、カッコよかったから…」

と。デザインはともかく、彼自身のことをめちゃくちゃダサく思えてきたのを覚えている。

 

そして連絡というのが、また新たなタトゥーを右腕に入れたというものであった。どんなもんじゃい、と画像を送ってもらうとツラツラとフランス語の文章が書かれていた。

「何か意味があるの?」

と、無駄だと思ったが問うてみると

「コレは俺たちが生まれた1997年に死去したジャンヌ・カルマンの生まれ変わりであるという証明みたいなもので…」

と割り方ちゃんとしていそうな説明を始めた。フレンチ・タトゥーの横に申し訳なさそうに並ぶピストルとダイス。彼等に申し訳ないと思わないのか…!彼の今日ここに至るまでを考えると、新しいタトゥーの方がより滑稽に思えてならなかった。

 

若気の至りのタトゥーも考えものだが、思想が色濃く反映されたタトゥーもそれはそれで考えものである。