虚言ネットワーク

※このブログはフィクションです

2021-01-01から1年間の記事一覧

駆け抜けて日常 #10

相談を持ち掛けてくる相手は、話しかけている相手のことを見えているのかどうか。 「どうやって別れたの?」 彼女に別れを切り出そうとする友人からの相談。なぜ私に?ああ、最近(そんな最近でもないけどな…)別れた知人に該当したのが私だったって、それだ…

駆け抜けて日常 #9

別れは突然やってくる。 「久しぶり。元気かい?俺、地元で就職することにしたわ。」 東京で出会った友達は散り散りになっていく。ある友人は田舎の山村での生活を選んだ。またある友人は周囲の反対を押し切り、海外へ。皆の気持ちを受け止め切れるほど東京…

駆け抜けて日常 #8

久々にギャラリーに足を運んでみた。 ある世界の新人、その世界のこれからを担うかもしれない人々の作品を鑑賞すると、軽い動悸のような…それが何を意味するかは判らないが…そんな症状を覚えることがあった。 「気持ちを強く持って…!」そんな声がする。 こ…

駆け抜けて日常 #7

I rememberHow the darkness doubledI recall,Lightning struck itselfI was listeningListening to the rainI was hearingHearing something else 覚えているよ、どんな風に暗闇が増幅していったか 思い出すよ、我を貫いた稲妻を ただただ、雨音を聴いてい…

駆け抜けて日常 #6

「履き慣れていなくて、靴擦れしちゃう靴ならば、捨ててしまいましょう。履き慣れていないのは、あなたがちゃんと履いてあげていないからでしょう?と思ったでしょう。でも、何で履き慣れていないのか。それはその靴に愛着がないからなのです。私もあります…

駆け抜けて日常 #5

自分らしさを他人に強要してしまったのかもしれない。 ある人の話を聞いていて、全く納得が出来なかった。この腑に落ちない感情は大概にして一過性のモノであることは理解していたとしても、物申したくなる。とりわけ、自分のことに関しては。 友達から借り…

駆け抜けて日常 #4

たまに、ドライブをしたくなる。 車を持たずとも生きていける都会は何だかんだで便利である。その都会で生きる私は、移動手段として生まれた車に乗る為にわざわざ家から移動し、目的もなく走る訳だから、どうしようもない。それに拍車を掛けるのはこのご時世…

駆け抜けて日常 #3

思い出の品々を旅に出した。 まあ、修繕に出しただけなのでいずれ帰ってくると分かっていても少しソワソワする。彼等をダイジョーブ博士のような一か八かに身を投じさせてしまったのか、はたまたドクター・ドリトルみたいな人にかかることになっているのか……

駆け抜けて日常 #2

不可思議な夢を見た。 街の外れの川沿いで、タクシーを拾おうとすると向こう岸から小さな灯りが一つ。オンボロでアンバランスな蛇行タクシーが川を横断してやってきた。 「お客さん、どちらまで…?」 そう尋ねてきたのは人生八合目、といった感じで愛想を見…

駆け抜けて日常 #1

日常に転がる些細なことに目を向けることを疎かにしがちであることをどうにかしたい。基本的に自分の感性というモノをそこまで信用していないので、多分もっと素敵なストーリーテラーがいるのであろうが、私しか目撃者が居ないのだから仕方ない。立ち上がれ……